何か一つ加えた対応を目指して

以前、ある石材商社さんの企画で杉村太蔵さんの講演を聞く機会がありました。講演を聞くまで、杉村さん=国会議員当時のイメージが強かったのですが、聴講者の心を掴むのが上手で何度も爆笑をとっていました。また、その中で仕事に活かせる内容も多く、とても興味深く聞かせていただいたことを覚えています。

杉村さんは、大学中退→自給800円の清掃員→年収600万円の外資系証券マン→国会議員→落選→無職・貯金激減→タレント→投資家・実業家となり、いまや資産1億円、という経歴の持ち主。大学中退後、自給800円のアルバイト清掃員の時に、その仕事ぶりや人間性などが認められて、外資系証券マンへスカウトされることに。

そして、その後に国会議員となり、いろいろあった中で、現在はタレントや実業家として活躍されているわけですが、普通の人では、そんなドラマのような紆余曲折の人生を経て、現在のようなサクセスストーリーを手にすることはできません。様々な考え・行動の結果として今の姿に繋がっていることを講演を聞きながら感じました。

杉村さんは著書『バカでも資産1億円』の一節で、こう記しています。

与えられた目の前の課題に対して真摯に全力で取り組むというのは、ぼくの信条です。清掃員の仕事を与えられたのなら、それをやりとげるためにひたすら邁進する。ただそれだけです。挫折したり、思うようにいかなかったりしたとき、人生を少しでも良い方向に進めるにはそれしかないと思います。

杉村さんは証券マンとして活躍していた当時、常に何か「一品加える」努力をされてきたそうです。例えば、上司から「ボールペン持ってきて」と言われたら、黒色ボールペンだけでなく、黒、青、赤と主要な色を揃え(全部ちゃんとインクが出て書けるかどうか確認した上で)、その場にあれば修正液、さらに蛍光ペンをセットにして持っていく。また、上司のデスクの蛍光灯が切れたときには、蛍光灯を替えるだけでなく、蛍光灯のまわりをついでに雑巾で拭いて掃除する。

このほかにも、電話は5秒以内に出るようにする、上司のコーヒーの好みを把握しておくなどなど。テレビの影響で何となくかるいイメージもあるかと思いますが、目の前の課題に対して、どうすれば自分の力を発揮できるのかを考え、全力で取り組んできた結果として(才能・センスもあったのでしょうが)、今の姿に繋がっているのではないかと思います。

以前、ある石材店を取材させていただいた時、同じように「お客様に依頼された仕事だけをするのではなく、何か一つサービスを加えるようにしている」という取り組みを聞いたことがありますが、そういった一つひとつの努力の積み重ねがお客さまからの揺るぎない信頼へと繋がっていくものなのでしょうね。

では、石材新聞では何ができるのか。石材新聞2099号にて「仏像の基礎知識」に関する付録ポスターを同封していますが、新聞を通した中身の濃い情報はもちろん、記者としても取材時や電話での対応、会社へお越しいただいた時など、出来る限り“何か一つ加えた対応”を心がけていきたいと思います!(山口康二)

石材新聞では年に2回、石材店の店頭等にて掲示(お客さまとの会話のきっかけにして)いただきたく、あると便利な付録ポスターを同封しています。ぜひご活用ください!